04 Nov 画廊沖縄
この世界には表現者と呼ばれる人達が数多く存在する。彼らは日々の些細な出来事から、社会的な大事件に至るまで、様々な物事を鋭敏に感じ取り創作活動を行なっている。小説家なら文章を書き、詩人なら詩を読む。そして、美術家は美術品を創るだろう。
そうして生み出された作品群は、作り手の社会に対する解釈であり、私達が生きる世の中そのものの縮図になるのである。
画廊は、そういった日々創り出されるモノ達を社会に結びつける場だと思う。
1981年創業の画廊沖縄は当時貸し画廊や画廊喫茶が主流であった沖縄で、企画画廊としてスタートしたギャラリーだ。沖縄をはじめ内外の作家の個展やグループ展を開催し、創業以来現在までに315回の企画展を行なっている。
オーナーである上原誠勇(うえはらせいゆう)さんは画廊設立以前に雑誌「青い海」で仕事をしており、そこで出会った画家の大嶺政寛(おおみねせいかん)さんら、明治大正生まれの沖縄を代表する画家達から薫陶を受けたそうだ。
現在では娘の田原美野(たはらみの)さんがスタッフらと共に画廊沖縄を運営。現代作家の企画展を柱に、病院などの施設に作品を貸し出すレンタルアートや、オークションなどの企画を精力的に行っている。
私達が美術品を買う理由は様々である。個人的な趣味嗜好や、投機目的。作家のサポートなどなど。そういった多面性のあるアートワールドの中で、顧客の気持ちを汲み取り作品を販売することが画廊の仕事である。しかし、それだけではない。
ギャラリストは現在の美術状況にアンテナを張り、美術の歴史を綴っていくという仕事も担っている。画廊沖縄は「沖縄美術の流れの中で、この作家や作品は残していかなければいけない」という熱い情熱のもと、作家との二人三脚で毎日歩んでいるのである。
お二人への取材を進めるうちに、美術に対する真摯な想いが言葉の端々から感じられ、私はまるで叱咤激励されているような気持ちになった。
画廊沖縄は、美術を社会へと繋げる紐のようなものである。作家や、彼らが生み出した作品を支え、それらが私たちの生活から離れていってしまわないように、しっかりと結びつけている。
〈画廊沖縄〉
住所:〒901–1114南風原町神里373番地
電話番号:098–888–6117
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日、月、祝日休廊