Author: Naoko Uchima

    今年3月にArt Initiative Okinawa(AIO)を立ち上げた。個人事業とは別にグループの活動として、将来的にアートセンター設立を目指している。その背景に、旧前島アートセンター(MAC)の理事、国吉宏昭さんとの出会いがある。彼は沖縄のアートシーンを支え、様々な機会を作った影の立役者だ。出会った頃の国吉さんは、どの展覧会にも必ずいて、一体何者だろうというのが私の印象だった。そのうち私の発言に「内間さん、あんた面白いね〜。今度お茶でも飲みながらゆっくり話そう」と言うのだが、次回会って挨拶をするとすっかり忘れられていた。そんなやり取りを何年も繰り返していたが、アーティスト津波博美さんの紹介で親しくなった。 当時、英国と沖縄を行き来し、国吉さんと親交のあった博美さんから「国吉さんは車が無いから、展覧会に行く時は連れていってあげて」と頼まれたからだ。彼の興味は美術以外にも舞台、音楽、映画と幅広く、そこが私と一致して、あちこち一緒に観に行ってお互いの感想を語り合った。彼の視点は鋭く、意見交換をすることで鑑賞の楽しさは2倍に広がった。 私が帰国した年にMACは解散したので、その実態をよく知らない。ただMAC主催による国際交流展「ワナキオ」の参加者から話しを聞き、事務局を担っていた関係者らの現在の活動から、人材育成や世代を超えた交流に大きく役立っていたと思う。国吉さんが亡くなり1年が過ぎたが、彼の後ろ姿を振り返り、アーティストと社会を繋げる役割とアートセンターの必要性を感じ、有志で活動している。 国吉さんのエピソードに、MACのあったビルの所有者に場所を使わせてもらう交渉をしたり、自身がギャラリーを経営していた際に画家の真喜志勉さんや金城明一さんらの展示を行なっている。アーティストらに興味を持ち、助言し、自ら企画し、人を紹介するなど、彼にお世話になった人は多い。生前、死んでも化けて出てくると言っていた彼が、大声で「ぶっ飛んでるね〜」と楽しめる企画を考えている。 内間 直子(アーツマネージャー) 2020年8月6日 琉球新報 文化面連載「落ち穂」より転載 ...

    [vc_row css_animation="" row_type="row" use_row_as_full_screen_section="no" type="full_width" angled_section="no" text_align="left" background_image_as_pattern="without_pattern"][vc_column][vc_row_inner row_type="row" type="full_width" text_align="left" css_animation=""][vc_column_inner][vc_column_text]  ”Art in times of Corona”/ 医療従事者と考えるコロナ渦でのアート活動 [/vc_column_text][vc_separator type="transparent" up="30" down="20"][/vc_column_inner][/vc_row_inner][vc_column_text]2020年8月、沖縄でコロナウィルス感染拡大の影響が再び広がりを見せるなか、アートスペース、ギャラリーなど、展覧会やイベントなどの運営方法について、改めて考える機会が必要ではないか。 Art Initiative Okinawa(AIO)では、県内のアート関係者からそれぞれの課題やニーズを探り、沖縄のアートシーンに相応しいガイドラインについて、参加者と共に考える場としてオンライントークイベントを開催。今回は、沖縄県県立中部病院循環器内科医師である久島昌弘(きゅうしま まさひろ)さんをゲストに招き、アート関係者の課題や対策について触れながら、パネルディスカッションや参加者による質疑応答を通して、芸術文化活動を行う上での注意点や今後必要になってくる個人や組織との連携についても考える。 日  時:2020年8月2日(日)20:00〜21:30 内  容: 1. ゲスト久島昌弘さんによるプレゼン 2. アート関係者とのパネルディスカッション 3. 参加者からの質疑応答 方  法:Zoomによるオンラインミーティング [/vc_column_text][vc_row_inner row_type="row" type="full_width" text_align="left" css_animation=""][vc_column_inner][/vc_column_inner][/vc_row_inner][vc_row_inner row_type="row" type="full_width" text_align="left" css_animation=""][vc_column_inner width="2/3"][vc_column_text] ゲスト 久島 昌弘(きゅうしま まさひろ)沖縄県立中部病院循環器内科医師ならびに、同病院医療情報科部長。TEDTalkボランティア翻訳者、2010年、2013年に開催されたTEDxRyukyuオーガナイザーとして、写真家の東松照明、石川真生、映画監督の宮平貴子、イラストレーターpokke104などを紹介。その時に、同じ中部病院に勤める感染症内科の高山義浩医師も紹介するなど、オーガナイザーとしての多様性や着眼点を発揮した。学生の頃から音楽に関心を持ち、同時期に美術館で現代アートを鑑賞することに喜びを見出だすなど、アートを心から楽しむようになり、趣味で写真を撮ることや、陶芸、茶道も嗜んでいる。[/vc_column_text][/vc_column_inner][vc_column_inner width="1/3"][vc_single_image image="16924" img_size="medium" qode_css_animation=""][/vc_column_inner][/vc_row_inner][vc_row_inner row_type="row" type="full_width" text_align="left" css_animation=""][vc_column_inner][vc_separator...

    芸術と無縁だった私が積極的に関わるようなったのは、1997年にロンドンに渡り、欧州の美術館やアートシーンを目の当たりにしてからである。当時の英国はトニー・ブレアが首相になり「クール・ブリタニア」という国家のブランド戦略の下、現代アートで「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」が活躍し、音楽では「ブリット・ポップ」がヒット。映画で「トレインスポッティング」が話題になるなど、世界的に英国発の芸術文化が注目され、勢いに乗っていた時代だ。 それらの影響により、日本の社会や教育で培われた固定観念は覆され、心が解放され、生活の中にアートを身近に感じるようになった。英国で観た日本映画や展覧会などから、そういう場面を企画・運営する側として、アートと社会を繋げる役割に興味が湧いてきた。十数年を超える英国生活で外向きだった目が、原点である沖縄を見直し、沖縄の芸術文化を誇らしく思うようになっていたことも大きい。そこで、沖縄のアーティストをロンドンで紹介するために初めて企画書を書き、0からスタートした。 その活動を始めた直後に、2008年のリーマンショックで勤めていた会社が倒産。そのショックやストレスから、力を取り戻すきっかけになったのが、沖縄の音楽やアートだった。苦境を乗り越え、2011年に沖縄に拠点を移してから欧州とのネットワークを更に拡大させ、現在に至っている。沖縄は元々、海外との貿易や交流で独自の社会を築いてきた歴史があり、観光や産業の発展にも芸術文化の発展は必要不可欠と言える。 今回のコロナ禍で芸術活動の継続が困難な状況にあるが、みな創意工夫して活動再開に向け、動き出している。沖縄が国際社会を生き抜き、共に考え、対話し、多様性のある社会を実現するためにも、アートの力を活用するべきだ。ここでは、県内のアート関係者の取り組みや欧州の事例など、独自の視点で紹介していきたい。また、この大きな変化の時期に、幅広い世代へ向けて伝える機会を頂けたことを嬉しく思う。 内間 直子(アーツマネージャー) 2020年7月3日 琉球新報 文化面連載「落ち穂」より転載...

    Art Initiative Okinawa(AIO)では、今年度のプロジェクトを共に運営していくメンバーと、AIOの活動に関心のある参加者とざっくばらんに語り合うゆんたく会(座談会)を開催。毎回、現代アートや美術に関わる話しが中心ではあるが、映画、音楽、舞台など、ジャンルを超えた国内外のアート関係者や一般の参加があるのが特徴。参加者のそれぞれの活動内容や関心のあることを共有してもらい、連携を図るためにも、ジャンルや世代を超えた参加を促し、オープンなディスカッションの場とする。県外、海外から、沖縄を拠点に活動しているアート関係者と交流したい方も歓迎。沖縄では2020年6月から、自粛期間も緩和され、芸術文化活動が再開し始めた。試行錯誤しながら、創意工夫して、芸術文化活動を継続、発展させるためのアクションを参加者と共に考え、アイデアを共有し、お互いができることを実践していく。 日  時:2020年6月28日(日)20:30-22:00(90分) 内  容: 1. AIOについて 2. 2020年度事業計画と今後のスケジュール 3. AIOメンバー紹介 4. 参加者の自己紹介 5. オープンテーマのゆんたく会 方  法:Zoomによるオンラインミーティング モデレーター Titus Spree(ティトゥス スプリー ) 内間 直子(うちま なおこ)...

    [vc_row css_animation="" row_type="row" use_row_as_full_screen_section="no" type="full_width" angled_section="no" text_align="left" background_image_as_pattern="without_pattern"][vc_column][vc_row_inner row_type="row" type="full_width" text_align="left" css_animation=""][vc_column_inner][vc_column_text] 「ドイツの芸術文化政策に学び、沖縄でどう活かしていくか」 [/vc_column_text][vc_separator type="transparent" up="30" down="20"][/vc_column_inner][/vc_row_inner][vc_column_text]2020年、コロナ渦でドイツの芸術文化政策のニュースを聞き、芸術に対する考え方や支援のあり方に、日本や沖縄との大きな違いに驚きを隠せない。沖縄在住のドイツ人に詳しく聞いてみたところ、ドイツも昔はそうではなかった、だからこそアーティストや市民が声をあげて、改善を求め、今のような体制や現状を勝ち取ってきた歴史があるそうだ。このような状況だからこそ、気づき、見えてきたことがあるように思う。このことをきっかけに県内の芸術文化に携わる人たちの横つながりやネットワークを築き、この困難な時代を乗り越えていく知恵と力を蓄えたい。 今年3月に立ち上がったArt Initiative Okinawa(AIO)では、ドイツ在住で、元沖縄県文化振興会職員の林立騎(はやし たつき)さんをゲストに招き、ドイツと日本、沖縄の文化政策を比較しながら、その違いについて学ぶ。さらには、現状(with コロナ)と収束後(after コロナ)に、沖縄で必要になることや芸術文化活動を継続、発展させるためのアクションを参加者と共に考え、知識を共有し、お互いができることを実践していくことを目指す。 日  時:2020年5月9日(土)19:00-20:30(90分) 内  容: 1. ドイツの文化政策、コロナ禍の状況について(Q&A含む) 2. 沖縄の状況と今後の対策などについて 3. 参加者からの質疑応答 方  法:Zoomによるオンラインミーティング ゲスト 林 立騎(はやし たつき) 1982年新潟県生まれ。翻訳者、演劇研究者。訳書にイェリネク『光のない。』(白水社)、共編著に『Die Evakuierung des Theaters』(Berlin Alexander Verlag)。2012-14年アーツカウンシル東京調査員(伝統芸能分野)、2014-17年東京藝術大学「geidaiRAM」ディレクター、2017-19年沖縄県文化振興会プログラムオフィサー。2019年よりドイツ・フランクフルト市の公立劇場Künstlerhaus Mousonturm企画学芸員(ドラマトゥルク)。2021年夏に沖縄に帰国予定。 モデレーター Spree Titus (スプリー ティトゥス) 内間 直子(うちま なおこ) [/vc_column_text][/vc_column][/vc_row]...